僕が住むバンクーバーは、基本的にはとても平和で安全な街なのですが、そんなバンクーバーにも実は危険と呼ばれるエリアが1ヵ所だけあります。
その場所とは Downtown Eastside(ダウンタウン東部)。
危険と聞くと銃を持った悪人がウロウロしているような、そんなイメージを思い浮かべてしまいがちですが、実はそうではなく、ドラック中毒者やホームレスの住処となっていて治安が悪いように見える、というのが正解です。実際、危険という単語より、むしろ「ダークサイド(Dark side)」などという単語の方が多く使われているように感じます。
ドラッグや盗品の売買、売春などは日常に行われていますが、人に大きな危害を加えるような犯罪はほとんどありません。僕も10年以上バンクーバーに住んでいて、たまにこのエリアを1人で探索したりしますが、個人的には危険だと感じたことはありません。
しかし、初めての探索時、カメラを持って写真を撮りまくってたら、道を挟んだ向こう側から小石を投げられたことがあります。この時初めて僕は自分のしたことが、思慮の足りない軽率な行為だったと理解しました。
それからは写真を撮る時は、人の場合は相手に聞く、そうじゃない場合でもなるべくカメラを意識させない配慮をするなど気をつけるようにしています。
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写真で見る危険地帯
ここでいくつか僕が過去に撮った写真を紹介します。
これらの写真だけでは、危険というイメージは伝わってこないかもしれませんが、“危険”、“治安が悪い”という事前情報を持っている状態で見ると、写真の向こう側のストーリーを頭の中で勝手に描いてしまい、ただただ悪い印象になってしまいます。
写真や動画というのは、構図やその見せ方で第三者に与える印象は全く異なります。僕はこの写真を「危険なエリア」を表現をする目的で撮影しているので、写真は全て暗い雰囲気になっています。しかし、もし仮に「安全で楽しい場所」だと表現したいと思って撮影すれば、上の写真とは全く異なる結果となります。
何が言いたいかというと、写真だけでは真実は分からないということ。そして、このエリアは、ただ危険、治安が悪いと一言では評価できないということです。
Needle exchange services
カナダでは、ドラッグ摂取の際の注射器の使い回しによる感染リスクを減らすため、注射器を無料で配布するサービス 「Needle exchange services」を行っていて、その配布施設がこの周辺に複数あることから、使用済み注射器が道端にたくさん落ちています。
大抵注射器は写真のように横になって落ちているので、踏んでも足に刺さることはないと思いますが、一応念のためこのエリアを歩く時は足元に気を付けるか、厚底の靴を履くなど、気にしておくとより安心です。
探索して発見したこと
実際に探索してみると、ガイドブックやWebサイトには書いてないような新たな一面を発見することができたりします。
物価が少し安い
エリア的に多くの人には好まれないこともあり、食料雑貨店、ホテル、家賃など、全体的に物価が少し安かったりします。
ガレージセールで掘り出し物?
路上では、多くの人がガレージセールを行っています。正直、多くはゴミのようなものなのですが、中にはCompass Card や iPhone、自転車など、ちょっと欲しいかも、と思うようなものもあったりしたので、じっくり漁れば掘り出し物が見つかるかもしれません。ただ、盗品が含まれている可能性も高いので購入するかどうかはご自身の判断で。
異様な売春
危険地帯と呼ばれるエリアを少し東側に行ったところでは、夕方くらいになると売春婦たちが出現します。ただ、ここの売春婦たちの多くは明らかにドラッグに冒された風貌。他の路上売春地で見かけるような女性とは全然違います。それでも時間になると、車が寄ってきて彼女たちを連れて行くという、ちょっとダークでアングラな世界・・・
探索する際に気を付けること
もしこのエリアに興味を持って実際に探索してみたいという人は自己責任で行ってみると良いと思います。自分自身の目でしっかり見て、何が危険で何がそうでないのか、そして、何を注意するべきなのかを知ることは重要です。
そもそも、このエリアで起こりうる危険なことは、このエリア外でも起こる可能性はあるわけで、実際に目視することで、ただ近づかなければ安全、という油断を取り去る効果に繋がるのではないかと思います。
このエリアには、たくさんの店や会社もあり、普通に一般人も歩いていますので、特に男性の場合は正直ほとんど心配は不要ですが、女性の場合は声をかけられる率が高いかもしれません。
写真/動画撮影
上でも書いた通り、これは十分に気を付けてください。盗品の売買含め、撮影されることを望まない人がたくさんいます。人を撮影する時はきちんと本人に了承を得る方が確実です。きちんとした写真を撮りたい時は、物やお金(数ドルでも)を渡して交渉するのもアリです。
注射器の針
道端には、注射器の針含め、様々なタイプのゴミが大量に落ちていますので、足元を注意しながら歩くことをお勧めします。
ドラッグ販売の勧誘
ドラッグの販売を行っている人もいて、勧誘されることもあります。聞こえないふりをしたり、きちんと NO と伝えましょう。
裏通り(alley)
大通りには一般人もそれなりにいますが、裏通りに入ると、まさにドラッグ摂取中という人も多く、さらにダークな世界になりますので、通常より少し注意が必要です。人目に触れない場所なので、特別な理由がなければ避けた方が無難かもしれません。
まとめ
ということで今回は、探索すればするほど、その魅力にハマってしまう。そんな危険地帯と呼ばれるエリアの紹介でした。僕の個人的興味から、探索を勧めるような内容になってしまったかもしれませんが、そういう目的ではありませんので誤解のないよう・・・。探索はあくまでもご自身の責任と判断で。