返品や交換に関するポリシーをはじめとする規約は厳密には販売店によって違うものの、一般的な基準や常識はその国ごとにある程度統一されています。
今回は、僕が住んでいるカナダ(北米)の、知っておくと得する、知らないと損する、一般的な量販店のポリシーについてまとめてみます。
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返品&交換ポリシー
「Return & Exchange Policy」などと呼ばれています。購入後、何日までに、どのような状態であれば返品/交換できるかなどを定めています。
多くの場合、購入後14-30日以内に、購入した時と同じ状態であれば無条件で返品/交換できます。箱やケースに入っているものは商品にもよりますが開封してあっても紛失や破損などしていない限り問題ない場合が多いです。
たとえば、アメリカ、カナダを代表する家電量販店「Best Buy」では、返品/交換可能な日数を下記のように定めています。
購入後の返品可能な日数 | 商品タイプ |
---|---|
14日 | コンピュータ、タブレット、プリンター |
30日 | カメラ、レンズ、テレビ、ヘッドホン、パソコンアクセサリ、掃除機、楽器 |
商品ごとの返品/交換ポリシー |Best Buy
https://www.bestbuy.ca/...content_product-specific_return_policies
一部、商品によって開封したものは不可と定めている場合もありますが、テープやセロファンなどでしっかり保護していない商品は、たとえ開封したとしても元通りに戻せれば、開封したかどうか判断することは困難なので、未開封と言って返品できます。
店舗が複数あるようなチェーン店の場合、購入した店舗以外の別店舗でも返品/交換できます。同じ店員に顔を合わせたくないなどの時でも安心です。
オンラインで購入したものを最寄りの店舗(店舗がある場合)に返品するなんてことも可能で、これにより送料を節約できます。
返品/交換で必要なもの
返品/交換の際にはレシートが必ず必要になりますので、レシートはもちろん、商品の入っていた箱や付属品はしばらくの間は保管しておくことをお勧めします。
商品ごとの返品例
コンピュータ、タブレット
開封しユーザー登録、初期設定などして普通に使用した後であっても、初期化することなくそのまま返品/交換可能な場合がほとんどです。
店で購入を迷っている時など、店員さんから「使ってみて気に入らなかったら返品すれば良いじゃない~」なんて言われることもあるくらい。コンピュータ、タブレットに限らず、電化製品においては返品/交換は一般的です。
カメラ、ビデオカメラ、レンズ
比較的長期の返品可能期間が設けられていて、ほとんどの場合、使用後でも返品可能です。
結婚式やイベントなどの前に高額なカメラとレンズを購入し、写真や動画だけ撮って返品してしまうなんてこともできてしまいます。
たとえ高額なカメラやレンズであっても、本体に関しては、元通りに戻しやすいパッケージングになっている場合が多いので、未開封/未使用として返品しやすいのも特徴です。
衣類
一度も利用していない状態であれば大抵、返品/交換可能です。
衣類の場合、パッケージされていないものも多いため、たとえ使用後であっても、汚れや傷がなく、臭いが付いてなければ返品/交換可能です。結婚式やパーティなど特別な時にしか着ないような服の場合、一度購入して目的が済んだら返品するという技も使えます。タグなどが付いている場合は外さずに隠して着ると良いでしょう。
帽子や手袋、靴下など直接肌に身に着けるものの場合、返品時に臭いを嗅いでチェックされることもあります。靴の場合は一度でも屋外で履いてしまうと汚れてしまうので返品/交換は難しいと思った方が良いでしょう。
[豆知識]Amazon の返品ポリシー
Amazon も通常の店と同様、返品/交換ポリシーを設定しています。日本の Amazonのポリシーもほぼ同じ内容です。
Amazon は、「Amazonが直接発送する場合(*FBA)」と、「出品者が直接発送する場合(*FBM)」の2通りの発送方法があります。返品/交換の条件は発送方法、または商品によっても異なりますが、ほとんどの場合、未開封のものであれば、商品到着から30日以内の返品/交換が可能となっています。
ただし、送料がかかるかどうかについては返品/交換の理由によって異なります。商品や配送に問題がなく自分自身の都合で返品/交換したい場合は送料は購入者負担。一方、下記のような場合は開封&使用していたとしても送料無料で返品/交換が可能で全額返金されます。
- 破損または故障している
- 開封、または使用済みの形跡がある
一般的に、Amazon が発送を代行する FBA の方が返品/交換の際の判断基準が緩いと言われています。僕自身も何度か開封/使用済みの形跡があるという理由で返品していますが、全てスムーズに返金されています。
- FBA
Fulfillment By Amazon(Amazon が発送を代行) - FBM
Fulfillment by Merchant(出品者が直接発送)
返品・交換の条件|Amazon
https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=GKM69DUUYKQWKWX7
最安値保証ポリシー
簡単に言えば他店に負けない価格を保証するというものです。日本の家電量販店でよく聞く決まり文句ですね。
最安値保証は店によって名称が異なり、また保証の期間を購入後にまで拡張して提供している店も多くあります。
ここでは、「購入前の最安値保証」と「購入後の最安値保障」に分けて、また、それらの一般的な名称について説明します。
購入前の最安値保障
Lowest Price Guarantee/Price Match Policy などと呼ばれています。
他店で同じ商品をさらに安値で販売している場合、その額と同額、またはさらに安い金額にしてくれるという、競合他店と競うポリシーです。
証拠となる値札の写メしておくか、ウェブサイトの価格をスマホなどで店員に見せるか、見せられない場合は口頭で説明すれば店側でチェックしてくれます。
店によっては、最安値の金額から、さらに差額の 10%を値引きすると謡っているところも結構あります。たとえば、A店で $120、B店で $150 で販売していた場合、B店では、$120 - $3(差額の10%) = $117 で買えるということです。ということは、このポリシーを掲げている一番高い店で購入するのが結果的に一番安く買うことができるということになります。
購入後の最安値保障
Price Adjustment/Price Protection などと呼ばれています。
購入後、指定の期間内にセールなどで購入額よりも安くなった場合、レシートを持っていくだけで、差額を返金してくれるというポリシーです。期間は14-30日以内と定めている店が多いようです。
「返品して再度購入するのと何が違うの?」と思うかもしれませんが、このポリシーのポイントは、購入後、開封/使用したとしてもレシートだけ見せれば差額を返金してもらえるというところです。
逆を言えば、このポリシーのない店でも、返品して再度購入(または購入して返品)すれば結果的には同じ効果を得られるわけです。もし既にガッツリ使用してしまっていて返品ができない状態の時は、同じ商品をセールの金額で購入し、開封せずに古いレシートで返品すれば良いのです。一般向けに販売されている多くの商品には、商品ごとのシリアル番号というのは付けられていませんし、仮にカメラやコンピューターなど製品自体に個体を識別するシリアル番号が付けられている場合でも、レシート(または箱のバーコード)とそれらのシリアル番号は関連付いていないので、全く同じ商品であればレシートと商品を差し替えても問題ないのです。
Rain-check(レインチェック)
画像:Amazon USA
セール商品が品切れとなっていた場合、後日再入荷した時に同価格で購入できる権利券のことです。
たとえば、広告に載っていたティッシュペーパー10箱 $5 を買いに行ったものの、既に売り切れで買えなかった場合。まずは店員に裏に在庫がないか確認してもらうとして、それでもなければ「Rain-check もらえる?」などと聞きます。
「Rain-check」という言葉自体は北米では広く一般的なので、知らないということはまずないでしょう。可能ならその場で専用の用紙に金額と有効期限を書いて渡してくれます。有効期限は店や商品によっても異なる場合がありますが、目安としては受け取った日から30日くらいが一般的ではないかと思います。
返品/交換のモラルの基準
中には、このようなポリシーを利用して賢くショッピングする行為に対して「非常識」「モラルに欠ける」「店に迷惑」などと批判する人がいたりします。特に日本人の場合、返品や交換に対する基準が少し違うので、そう考える人が多いかもしれません。
ただ、1つ忘れてはならないのは、これらのポリシーはあくまでも店が顧客満足度を向上させるため、または同業他店に対抗するために提供するサービスの一環であり、法律で決められたものではないということ。返品/交換を受付けるかどうかを決めるのは店であり、実際、一切受付けないという店も存在します。
返品/交換を認めなければ、客は購入する決断がしづらくなり、逆に、返品/交換を認めれば、決断しやすくなり販売数は向上します。購入後の返品/交換の手間と、返品された商品の処理も踏まえて、各店はポリシーの有無やその具体的な内容を設定しているわけです。
なので、僕たち消費者は、店側の利益や経営リスクなんて心配することなく、自分たちの利益を最優先に考えて適用できるサービスは堂々と利用すれば良いのです。
返品された商品を購入してしまう可能性
ここまで、返品/交換が気軽にできると書いてきましたが、さて、店はこれら返品された商品を一体どうするのでしょうか。
もし初期不良や不具合など明らかに商品に欠陥がある場合は、店も同様に製造主側に返品/交換の手続きをしますが、そうでない場合は、それら返品された商品は再度店頭に並び販売されることになります。
通常、使用済みの商品の場合は、少し価格を下げて「Open Box」として販売されます。しかし、明らかに開封/使用済みと分かるものでない場合は、通常の商品と同じように、同じ価格で販売されることが多いのが現実です。
そのため、自分自身が何かを購入する際には、この可能性を踏まえて商品を選択することをお勧めします。箱に入っている商品の場合は、可能であればちょっと開けてみて、中の梱包をしっかりチェックすると開封済みか判断できることがあります。
各ポリシーの確認
さて、ここまでいろいろなポリシーについて紹介しましたが、最後に、これらのポリシーの具体的な内容を確認する方法だけ紹介しておきます。
返品/交換が可能な日数など基本的なポリシーに関しては通常、レシートの裏などに記載されていますが、それ以外のさらに細かいポリシー内容については、その店のWebサイトに必ず書かれています。
多くのWebサイトでは、サイトのフッターメニュー(ページ下部)に「Returns & Exchanges」などと書かれたリンクを貼っています。
もし店頭で購入する際は、店員に確認すれば詳しく教えてくれます。